ゴマ油を適量

油物摂りすぎ注意

酒を飲み、小説を語る

誰だって、薄汚く躾もされてないような獰猛な野犬よりも、毛並みが綺麗でよく躾された賢くて可愛い仔犬を選ぶ。

ペットの話か?いや、違う。小説の話だ。

 

世の中でベストセラーと呼ばれる作品とか、ドラマ化映画化される作品ってのは後者。つまり、可愛らしい仔犬の方だ。

ダメ押しで「○○賞受賞!」と言った具合に血統書をつけてやれば、それはもう飛ぶように売れる。

 

そう、現代人は忙しいのだ。誰も、野犬を躾して風呂に入れてやり、その毛並みを整えてやるだけの時間なんてありゃしない。

そんな手間隙をかけるくらいなら、既にパッケージングされた、完成品を選ぶ。

同じ金を払っているなら尚更だ。

 

別にそれが悪いことではないが、そういった輩が小説を語るというのは、どうも気に食わない。

なんでかって?さぁな、それは俺にも分からない。でも気に食わないのは事実だ。

 

さて、ちと話しが逸れるが、俺は最近あることに気づいた。

それは、野犬であっても、血統書をつけてやればそいつはそれなりに売れるということだ。

 

つまり、難解で到底一般受けは望めなさそうな小説であっても、そこに「○○賞受賞!」と書いてやれば、面白いことに売れるのだ。

陳腐な例であることは分かっているが、『コンビニ人間』なんかは分かりやすい例じゃねーか?

 

しかし、野犬に血統書を付けると、今度は小説を知った気になっている輩が、「○○賞は質が落ちた。○○賞には価値がない」等と抜かしやがる。

逆だ逆。むしろ○○賞はその価値をよくわかっている。

 

ここで一つ。誤解してならないのが、よく飼い慣らされた綺麗で可愛らしい仔犬だけに血統書を付与する賞に価値がないってわけじゃあない。

それにはそれでまた、一定の価値があるってことを肝に銘じておくべきだな。